日本では里山や御神木等、森や木と人は親密な関係を築いてきました。現在でも国土の68%が森林で占められ、先進国の中ではフィンランド、スウェーデンに次ぐ高い森林率です。戦中・戦後に行われた植林による木々が使い時を迎え、化石エネルギーに頼らない循環型社会に向けて木を資源として見直し、木の暖かい表情や調湿性・加工性等を生かしながら、防火性能や耐久性に関わる勘所をしっかり押さえて有効に使っていきます。
地元材をCLT として活用した里山に呼応する温泉宿泊施設
高知県東部の山間部に位置する、ゆずを名産とする北川村の温泉宿泊施設の建替えです。客室やロビー・レストラン等施設の主 な機能は自然豊かな清流奈半利川に向けて配し浴室は里山に向けることで、お客様は四季折々の美しい風 景を望むことができます。通常はRC造や鉄骨造とすることが多い用途と規模ですが、豊富な森林資源を地域の活性化に活かすためCLT(直交集成材)に よる木造としました。
ウォールガーダー(壁梁)による長スパン構造を 採用することで、壁が2階に多く1階に少ない構成を 、告示された工法で適正コストにて実現しています 。
準耐火が不要な規模に抑えるため、木造の間にRC耐火建物を挟み込むことで防火規定上は別棟扱いとし、CLTを意匠として表しています。
CLTはじめ、造作材や壁材、家具等随所に村産材を活用しています。地場産品の販路拡大や北川村PRの場、また地元住民の活動拠点・避難施設となることを目指しました。
構 造 木造(CLT パネル工法)+ RC造
階 数 2 階
延べ床面積 1,475.74 ㎡
竣工年月 2018 年5 月
工 期 12 ケ月
総合・意匠設計:株式会社 倉橋建築計画事務所
構造設計:株式会社 日本システム設計
設備設計:株式会社 エネ・グリーン
監理協力:有限会社 艸建築工房
施 工:株式会社 田邊建設