豊かな自然に囲まれた、鄙びた風情のある旅館です。
ロビー棟であり、今回の改修部分でもある「緑風館」は《国登録有形文化財》にも登録されています。
改修の依頼内容は、ラウンジの窓周りにある畳小上がりの席をテーブル椅子席にし、朝食や日帰り客の食事提供の場としても使えるようにしたい、というものでした。そこでまず、畳小上がりは解体撤去し、段差のないフラットな床としました。
次に、外の景色がよく見えるよう、またラウンジから外にも出られるよう、サッシを掃き出しのものに取り換えました。サッシ内側に腰板を設けた木製建具をつけることで、冬の寒さが少しでも和らぐよう配慮しています。
型ガラス、電球形の照明や寄木貼りの床など、「懐かしさ」を所々にちりばめ、以前から使っていた囲炉裏テーブルも、ラウンジ中央に移動しカフェ席としました。ドリンクカウンターの隣には、社長の趣味でもあるオーディオ機器を置き、レコードを楽しめるようになっています。柔らかなレコードの音を聴きながら、四季折々の景色を楽しめる心地良い空間となりました。
2010年工事、宴会場『高城』の「大正から昭和初期にかけてのレトロな和の香り」「新しくて懐かしい空間」の雰囲気と合わせつつも、ラウンジならではの色を出すこと、また、外の景色をどのように取り込むかも設計のポイントでした。気軽に立ち寄り休めるような、開けた軽やかな空間を目指しました。

嵐渓荘HP

所在地：新潟県三条市　越後長野温泉
工事種別：改修
工事面積：35㎡
工事期間：2019年4月〜5月
用　途：旅館
構　造：木造
施工者：(有)ヤマセン
担　当：池田・高橋